共感と自然治癒力

 自然治癒力(免疫力)を高める最も大きなもののひとつに「他者との共感」があります。
 同じ病気の人同士が会って話をするだけでも、そこに大きな共感が生まれて、治る力を後押ししてくれます。体の病気だけでなく、同じ心の病気や同じ不安や心配を抱えている者同士の語らいも自然治癒力を高める大きな要素になっています。
人は他者と共感することで、不安で重くなった心を軽くします。心が軽やかになると、今の自分を俯瞰して見ることができます。自分自身を客観的に見つめることができると、今やらなくてはならないこと、やった方がいいこと、やれること、心身の整理がついていきます。
 世の中を見渡すと人は足を引っ張り合いながら生きている人もいますが、人は本来、人間同士、磨き合いながら生きていくことができます。人と人が切磋琢磨しあって生きていくということは、陰陽でみると中庸なことです。陰に偏ると妬み拗ねみが強くなり、陽に偏ると罵詈雑言(ばりぞうごん)を浴びせたり、暴力を振るったりすることさえある。陰に偏っても陽に偏っても、人は不安定になっていくのですが、他者との共感は陰陽の偏りを中庸へ戻すハタラキがあります。
 食養指導を通して多くの人と関わらせてもらうなかで気づいたことです。不安な心を持っていると、その行動は一見するとムダな動きが多いものです。面談や電話で食養相談をしていても、本人の不安が拭い去らないと、疑問質問が多いばかりで実践が伴いません。ところが合宿や個別指導を通して泊りがけで生活を共にすると、実際の食養生活を体験することと、合宿の仲間や私との共感が大きな後押しとなって食養生活が軌道に乗っていきます。
 「迷ったら行動」私の心がけていることのひとつです。家の中で、日々の生活の中で、指をくわえて待っているだけでは、人生は好転しません。人生は行動と実践のなかから好転していきます。
 私の所に尋ねてくる人の多くは、人生の迷いに直面した人たちです。私も人生の迷いをマクロビオティックに救われたのですが、思い返せば、後に師匠になる大森英桜との出会いからでした。大森英桜に出会ったことで、自分の志すマクロビオティックの強い共感が湧き起こり、人生の一歩を踏み出せたのです。大森に会いに行こうという行動が無かったら、今もドコかでさまよっていたか、早々にあの世に行っていたかしれません。人生はオモシロイものです。行動が人生を左右します。共感が生きる力を湧出させます。人はパンのみにて生きるにあらず。人は新しい出会いの中から新たな力が湧き起こってきます。