自然治癒力を高めるマクロビオティック

 すっかりお知らせが遅くなりましたが、今年の8月に新著を出版しました。タイトルは『自然治癒力を高めるマクロビオティック基礎編』(ミネルヴァ書房)。
 食養に出会って30年、大森英桜先生、一慧先生との出会いから始まる食養人生は一風変わった愉快なものでした。父のようにお世話になった石田英湾先生がいなくては、今の自分はいないと深く感じます。「はじめ塾」の和田重宏先生、正宏先生に出会わなければ、和道という道場がイメージできませんでした。兄弟子の伊藤誠先生、國清拡史先生の食養指導の経験も大きな学びになりました。
 食養指導に携わって20年、この間に多くの人達に関わらせていただきました。仮死状態で生まれた虚弱な私は、病気への共感から、食養に救いを求める多くの人達と関わってきました。末期がんや難病といわれるALS(筋萎縮性側索硬化症)、多発性硬化症、関節リウマチ、膠原病、潰瘍性大腸炎など今もなお増えている病気の方々。うつ病、統合失調症などの精神疾患の方々。アトピー、喘息などのアレルギーの方々。不妊症の方々とも数多く関わってきました。
 関わった方々がみんな問題を克服していたら、それはまさに奇跡的なことです。残念ながら難しかった人たちもいるのが現実ですが、それでも、現代医療ではどうにもならなかった病気の方が回復することも少なくないのですから、食養の力には本当に驚かされます。現代では、日々の食養を基本に、時々の断食と塩断ちの実践が、体質改善には欠かせないものだと、ここ数年の食養指導で確信しています。多くの病気で、時々にでも断食と塩断ちを組み入れていかないと上手に回復していかないのです。それが難病になればなるほど大事になってきます。
 本書はこの20年で体験したこと、学んできたことを、私の食養人生の中間報告としてまとめました。副題は「正食医学の理論と実践」となっています。師匠の大森英桜から受け継いだ正食医学の現代的な応用を本書で解説しています。大森の遺した5つの体質論はまさに偉業だと、年を経るごとに感じています。5つ体質論は食養指導を深め、多くの人を救ってきたと確信しています。もちろん、陰と陽のシンプルでスマートな思考法がベースです。シンプルを示す、禅的な陰陽を基本に、5つの体質論を応用することが現代のマクロビオティックでは大切なのではないかとおもうのです。
 新型コロナウイルスの出現で、社会は大きな転換期を迎えています。身土不二を基本とする経済に近づきつつあります。一方、西洋の価値観と東洋の価値観が合流する、東西融合の新時代へも踏み込んだのではないかとも感じるのです。桜沢如一の遺した世界観に大きく一歩近づいたのが、今ではないでしょうか。東西の融合は、陰陽で考えるところの中庸ではないかと思うのです。この中庸の大切さを本書では数多く触れています。
 僭越ながら現代の食養・マクロビオティックの最先端の情報を載せています。多くの人の刺激になり、食養・マクロビオティックがより良き社会の一助になれば幸いです。