「腸が健康の元」という考えが一般的にもかなり浸透してきた。腸内には1キロ以上もの腸内細菌が棲みついているといわれる。腸内細菌はビタミンやミネラルの合成に関わるだけでなく、様々なホルモンの生成にも大きな役割を果たしているという。さらに腸内細菌が多数棲みつく小腸の絨毛は、絨毛表面に免疫細胞と神経細胞が密集していて、腸内細菌の数は、免疫細胞と神経細胞の数に比例している。腸内細菌の数が多いほど、免疫力が高く、自律神経が安定的である。
日本の農村とカナダの都市の人々の腸内細菌叢の数を比べた研究がある。ほとんどの細菌がカナダの都市の人々よりも日本の農村に住む人々の方が多いという。都市と農村の生活環境の違い、食べ物の違いとはどんなものだろうか。
まずは土に触れる頻度や割合は農村の方が多いだろう。土壌細菌と腸内細菌は連動しているようだから、土に触れる機会が多いほどに腸内細菌は活性化するようだ。さらに水の質も大きな影響がある。日本を含めた多くの先進国は水道が普及している。水道水は塩素殺菌が常だが、下流に行けば行くほど塩素殺菌は強力になる。この塩素殺菌された水道水をそのまま飲むと腸内細菌まで減菌、滅菌させられてしまう。
土に多く触れ、塩素殺菌されていない水を飲んだり料理に使うことは腸を元気する大事な生活だ。都市生活で毎日、土に触れることはなかなか難しい。休みの日にはなるべく土に触れたり、連休の取れる時には田舎に行って土に触れることは実はもの凄く大事なことだと思う。自然豊かな海や山に行ってキャンプすることもいいだろう。風土というように、土壌細菌は風によって各地を舞っているから、自然豊かな土地に行ってそこの空気を吸うだけでもいい。和道でも田植えや稲刈り、田んぼの草とりなど土に直接触れる体験学習もやっている。
そして、何より食べ物だろう。自然食ブームはもちろん都市から発生している。自然から離れた食と生活をしている人々の本能が食を自然なものへと向かわせたのだ。食が自然であるかどうかは、食物が多様な細菌を有しているかどうか。発酵食品はその代表だ。
ある細菌学者は、日本人の腸内細菌が弱くなった大きな理由に冷蔵庫の普及を第一に挙げていた。冷蔵庫の普及で発酵食品を食べる頻度が減ったことと、どんな食品も冷蔵庫に入れることから、食品に付着する細菌が活力を失ってしまったのだ。日本は四季折々、寒暖差のある環境(風土)だ。夏は湿度が高く、温暖で、細菌には最高の環境だ。世界で一番多い腸内細菌を有していたといわれたのが昔の日本人。日本人は日本の風土に合った食と生活をしていれば、もの凄い生命力が宿るのだ。
しかし、どこでどう間違ったのか?これも宇宙の計らいなのか?
いやいや戦後のある国からの戦略が大きいのだが、今の日本人は本来の生命力が影を潜めている。その反動として現代では多くの病気が発生している。病は健康を取り戻そうという命の本能だ。命の本能に逆らわず、病は生命力を高める有難いものと考え、生命力を高める食と生活に励むことが、自らの健康だけでなく、日本や世界の平和につながることである。